追いかけるものは白球か、飛行機雲か。

www.homerun-contrail.com

 

2018年最初のお芝居の発表きたよおおおおおおおおおお

この作品の最初の発表から、安西ファン界隈では

「これ出るんじゃない?」

ってずっと言われておりましたが、バッチリ的中、しかも座長です!!

 

甲子園をあきらめた野球少年の話。

安西くんが中学まで野球に打ち込み、怪我による挫折で心が折れて少々荒れて、それから高校見学で見た高校生のパフォーマンスに感激して、演劇の授業があるその高校に入学した…というのは写真集のインタビューにもありましたね。

だから彼がついに、第2の夢である演劇を通してかつての夢…野球に再び帰ってきたといっても過言ではない、そう思っております。胸が熱いです。そういうドラマ大好きです(笑)。

 

あと、とりあえずこの記事読んでください。

ameblo.jp

 

『野球ということで、

凄くワクワクしております。

野球大好きなんです、ぼく。

本当に大好き。

カンパニー一丸となって、全員野球します。

夏!

是非劇場にお越しくださいませ。』

 

もうね、嬉しさを表現する言葉がキラキラと弾けるようです。(すぐポエムする)

 

そして個人的に、舞台設定が第二次世界大戦下であることもアツいです。

このへんのお話はフィクションも実録も何故かすごく惹かれるんです…。

九段下の昭和館(※昭和文化の資料館)が大好きで、当時のニュース映像やら玉音放送やらをすすんで見聴きしたりする程度には…(笑)。

 

予科練というのは、海軍のパイロット志望の練習生なんですね。だから飛行機雲…あっもうせつない(顔を覆う)。

ほとんどの予科練生は戦地に赴くことはなかったようですが、一部の人は特攻隊として海軍の軍艦に乗って戦死した人もいるようなので、し、しなないといいなあ…と思います…。

 

今回は元プロ野球選手の桑田さんが野球の監修に入られるとの事で、本格的でいいですね!丁寧な作品づくりに期待します。

西田さんの舞台と言うと殺陣や舞台の使い方の華やかさをイメージしますけど、今回はまた違う舞台づくりが観られそうです。

安西くんのウエットな情感のあるお芝居、一方で燃えるような激しさ、殺陣のキレ、過去の出演作ではそういう所を沢山魅せて下さいました。今回はどんなところを魅せてくださるかな。

 

出演発表の1時間後に共演キャストの色々があったために手放しでヤッターといえなかった所も正直ありましたが(私は同時に知りました・泣)、ようやく板の上での安西くんです。嬉しいです。きっとまた素敵な作品になると思います。

 

 

 

えんぶチャートの話をしたい

今年のえんぶチャートが発表になりましたね。

演劇雑誌『えんぶ(旧誌名:演劇ぶっく)』が毎年行う、俳優と昨年上演の舞台作品それぞれの人気投票です。

前回は恥ずかしながらこのランキングの存在を知らず結果だけ見たのですが、

今年はばっちり投票しました!

 

 

安西慎太郎さん、俳優部門で昨年87位→今年54位へのジャンプアップおめでとうございます!!!!!!!!!!!

 

 

すごくない!!??30位以上も急上昇してるのすごくない????(興奮)

ちなみに投票数は562票→728票とこれまたぐんと伸びておりました。

 

このえんぶチャート、安西ファンの投票数だけで出せる結果ではないと思うんですよ。投票されてない方も多いと思うし。

この投票、好きな役者さんは5枠まで投票できるんです。

もしかしたら、その枠に安西くんの名前を書いて下さった他の役者ファンの方が結構いらっしゃったんじゃないかなって思うんです。昨年も今年も。これって凄く素敵な事だなあと思う。

 

安西くんが推しではないけど、出るなら観に行きたいなっていう層がそれなりに多いのかなというのは以前から感じていた事です。他推しさんからの愛ある感想をよく拝見しますし。(公演期間中はめちゃくちゃ検索してます・笑)

お芝居が好きな方、誰かのファンの方に褒められている推し君はとても嬉しいしありがたい。

 

ちなみに作品部門、昨年の出演作は170位までに全作品入っていたと思います。大劇場作品から高校演劇まで入るチャートでこれはなかなか凄いんじゃない?

ロズギルが7位とぶっちぎりでしたが、アルカディアは確か10位以内には入らなかったので結構びっくりしました。オフィーリアもホレーシオも美しかったね…。

事務所さん、衣装着てる写真持ってたら出して頂けませんでしょうか本当にまじで切実に

 

(※ロズギルでは雑誌にオフィーリアの舞台写真が1カット載っただけで、他にはどこにもそれ以外の安西くんの衣装写真が公開されていません)

(あの美貌を記憶だけで抱えて生きてゆくのつらい)(ほんとにつらい)

 

 ※2018/5/27追記 ホレーシオの写真がAERAムックのクラーク記念国際高等学校の特集本(安西くんインタビュー記事)に載りましたね!小さいけど嬉しい!画像が現存していた!!

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話が脱線しましたが、えんぶチャートの結果がとっても嬉しかったよっていう話でした。

今年も3月になってしまいましたね…。出演作の発表はいつ頃になるでしょう。

君のいない春が来る……(君嘘)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

30代からの安西慎太郎のススメ

…〇モホルンリンクルみたいなタイトルである。


(る年の『ド〇ホルンリンクルのショートド〇ホルン』を思い出しますね)

 

私は30代前半です。安西くんのファンになったのも30になってから。

いや、何にハマるにしても別に年齢なんて関係ないんですよ。いいものに年齢制限なんてないし。

でも、あえて『30代で楽しむ役者安西慎太郎はいいぞ』っていうプレゼンです。

現在10代・20代のファンの方を見下したい話とかでは全くないので、念のため。

 

1・現場の年齢層が落ち着く

いきなりアレですが大事 これすごく大事

 

現在、一言で舞台の若手俳優と言っても10代~私と同世代の方までいらっしゃいますが、やはりファン層のメインは10代から20代中盤の女性。

若い。もうみんなほんと若いしカワイイ。

特に私のように、テニミュ出演の時点で30代だった人からすると、2.5次元舞台などの客層はやっぱりなんだかちょっと気後れするんですね…(笑)。元々好きなジャンルの層が年上ばっかりだったからというのもあるんでしょうが。

 

しかし安西くんですが。

テニミュ後すぐの仕事が年末明治座→その後レギュラーメンバーの一員に

(レギュラー俳優の多くがアラサーでほぼ同世代なので、使用楽曲の世代感はもちろん彼らの小ネタ・作り出す空気感に共感共鳴するのですごく落ち着く。)

 

・出演者・客層の世代の幅広い作品に多く出演

(る・ひまわり作品もそうですが、シスカンパニーの『アルカディア』『ロズギル』、CATの『幽霊』なんかもそうですね。

共演者の世代+ファン年齢層が全体的に上だったので、気後れがなくてありがたかったです。男性客が一定数いるのも嬉しい。)

 

小さな事かもしれませんが、年上ばかりの場所に年下が臨むよりも、逆のほうが結構気を遣うんです。「すまん…私のようなおばさんがすまん…」って思う(笑)。

もちろん、キャスト・客席が若さに溢れた作品に出る彼も大好きです。

 

2.好きな音楽に尾崎豊スピッツを挙げる

もちろん同年代の人が聴くような楽曲も好きだったはずですが、93年生まれの男子から発されるアーティスト名ではないですよ本当に。びびりました。

私の年代だとスピッツはもうドンピシャ世代、尾崎はお兄さんお姉さんがいる子が背伸びして聞いてたような、ちょっとだけ上の世代に支持された歌手です。私はどっちも大好き。

 

もうね、落ち着く。こういうとこほんと落ち着く(太字)。

 

上のお姉さんが少し年が離れていると言っていたので、その影響なんでしょうかね。

 

ちなみに1度だけ出た事務所のファンイベントで、DEENの『このまま君だけを奪い去りたい』を歌ったと伝え聞いたのですが、これは今でも、何故私は「イベントだからいいや~」と仕事の調整をしなかったのかと狂おしく狂おしく後悔している案件です。

もう安西くんの声でDEENなんて絶対イイに決まってんじゃんそんなのーーーーー!!!!こちとら小学生の頃からすごく好きな曲だったんだぞ!!!!!(号泣)

 

個人的に去年は、る年でアムロちゃんの『Chase the Chance』で踊る彼を観てしまったので、よもや小学生からカラオケで何億回歌ったかわからないこの曲と推しがリンクする日が来るとは…と感動がすごかったです。

こんな感じで、何かと90年代j-popを経てきたファンに優しいのもおすすめポイントです。

 

3.年齢や経験を経るほど、彼の芝居は旨味を増す

これが一番のおすすめポイントです。

 

以前こちらの記事で、彼の芝居は人間臭さが魅力だという事を書きました。

yoshida-htn.hatenablog.com

役の持つ優しさや純粋さ、それに連なる愚かしさや不器用さ。そういう人間の多面性を、何ともいとおしく表現できる役者さんです。

 

これは以前『スーツの男たち』を一緒に観劇した同い年の連れに言われたのですが、「(安西くんは)役の持つ人生経験をちゃんと芝居で表現できている。本人の年齢ではきっとマックスの苦しみ悩みは全部理解できていないかもしれないが、それでも私たちにマックスに『共感』させる芝居をしている」と。

 

『スーツの男たち』はもう本当にマックスに共感しかなくて、彼にとって仕事とは単なる金稼ぎや上等なスーツを着るための手段ではなくイコール自分の生きざま

なので、ひとりの人間として豊かで穏やかに生きるためにこの仕事を抜けたい。何が嫌なんだ?この『全部』だよ。……もうこの、マックスの苦悩にわかるわかると言い続けました。「そう~!私たちも湯沸かし器が故障した心配とかしたいだけなの~!!」と(笑)。

ちなみにこのお仲間はこれがきっかけとなって転職しました。マックスの苦悩への共感で、自分の職場でもやもやしていた思いがクリアになったそうです。

 

『幽霊』のオスヴァルの、誰もがどこかに持っている弱さや愚かしさ、『幸福な職場』の大森専務の立場ゆえの苦悩。

『喜びの歌』のイケダや『男水!』の礼央が持つ、青く鋭く尖った感情に対する痛みを孕んだ懐かしさ。『ロスモワ』の伏見、『もののふ白き虎』の貞吉のように置いて行かれた子たちのその先。エトセトラエトセトラ。

もちろん若い方が観ても伝わるものが沢山あると思いますが、それなりに長く生きてみると役への共感度・理解度はさらに上がります。彼の芝居の『旨味』がめちゃくちゃ増します。逆に言うと、彼はそういう『旨味』を想像させてしまうお芝居をする人です。

もちろんそういう面白い役や作品に多く出ていることも幸運です。私でさえ、また何年か経ってから観ると見方が変わって絶対面白いだろうなって作品がいくつかあります。

 

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アラサー、30代以上の皆さま。役者・安西慎太郎は本当に面白いです。

そして10代20代の皆さま。既に彼のファンの方も、これからもっともっと彼の芝居が面白くなりますよ。

 

そして最後に。

安西くんのお芝居や芝居に対する姿勢、彼が投げてくれる真摯な言葉は、日々を生きる励ましをくれる『お守り』みたいになります。彼がよく理想に掲げていた、『安西慎太郎の芝居を見たら頑張れる』は本当に嘘じゃないです。

 

これだけ言って現在おすすめできる次の仕事が何も決まっていないのがはがゆいのですが、興味を持っていただけましたら過去作をぜひ…。何観ていいかわからなかったらご連絡ください(笑)。

 

 

 

 

本日は晴天なり。~ゆく年く・る年冬の陣

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明治座そばで、威風堂々になびく彼の幟で泣きました(※まだ観る前なのに)。

 

rutoshi.com

enterstage.jp

 

楽しい舞台はあっという間に終わってしまうのですね。

『ゆく年く・る年冬の陣 師走明治座時代劇祭』全公演が無事幕を下ろしました。

 

念願の安西くんの明治座での座長。しかもこれまた大好きな辻本くんとのW座長。

私はいまだに『るの祭典』の秀吉・三成の主従をドこじらせているので、安西くんと辻本くんが並んでがっつり絡むお芝居を熱望しておりました。

まさかこんなに夢のような形で叶うなんて!

 

今回のW座長は、敵対する同士ではなく味方同士、藩主と小姓の主従関係です。

安西くん演じる片倉重長は熱血漢溢れる青年なのは聞いてましたが、フタを開けてみたら若さゆえの野心が完全にカラ回りしているちょっとおバカさんな子でした。

『図太く長生き』を信条に、ヘラヘラ飄々と振舞いちっとも武士の威厳を感じない『上司』の伊達政宗にまったく尊敬する部分を見いだせない。

そんな中、真田幸村を仲間に引き入れるための潜入を命じられ、よっしゃーやったるぜ~と意気揚々と九度山へ入り込んでゆく。

 

るひまさんがこういうキャラクターを彼に当ててくるのは最初ちょっと意外でしたが、物語が進んでいけば本当に納得でした。

全員が強烈に個性的。そして全員がそれぞれの『戦う理由』を持って戦を広げてゆく世界に、『戦う理由』を明確に持たない重長は困惑し、翻弄され、その中で自分なりの『正義』を掴み、傷ついた真田幸村を助けたい一心で言う。

「仙台に行きましょう。いい所ですよ、仙台」

 

実は私の弟が以前から、「安西くんは戦隊のレッドが似合うんじゃない」と言っておりまして。

なるほど、彼のレッドらしさは『一番強いカリスマ的レッド』ではなく、『周囲に翻弄されながら成長してゆく主人公的レッド』のそれでした。

まっすぐで、優しくって、やっぱりどこかみっともなくて、それゆえにいとおしい。

そう考えたら、この片倉重長は確かに安西くんのために作られたキャラクターでした。るひまさんは本当に、ずっと安西くんのお芝居を見ていてくれたのだなあ。

 

今回の重長はひたすら走り回ってずっとバカで、東京楽の時には「ど、どーしたの?疲労困憊でおかしくなったか??」と心配になるほどギャグがスベって暴走しまくっているように見えたのですが、最後に家康に刃を向けて「…冗談ですよ?」という時の絶対零度ぶり、あの強烈な緩急…!痺れました!

全てはこの一瞬のための計算だったんじゃないかと思うほど、見事なシーンでした。

 

最後に政宗流の『飄々さ=生きるためのしたたかさ』を会得し、しかし心根は優しいまんまで、その明るさで政宗さまの『亡霊』まで追っ払ってしまう。

ラストシーンで政宗さまと肩組んで去ってゆく後ろ姿、あまりに幸福な結末で泣けました。優しさゆえに傷ついて苦しんでしまう役が似合いすぎるこの2人に、揃って笑顔のエンドマークをつけてくれた幸せ。本当にありがとうございました。

 

るひまさんの舞台に出る安西くんが好きな理由のひとつが、「ああ安西くんもまだまだだなあ」ってきちんと思える事です。

これはとてもいい意味で。

る典、納祭、滝口炎上にリヴァる。芸達者で個性的な先輩たちの中に放り込まれて芝居やパフォーマンスするのを観ると、いつも彼のいい所、良くなった所、まだまだなところが明確に現れます。

彼にまだまだだって思える事は、こいつまだまだ伸びるぞ!とわくわくする事でもあります。もっと沢山の経験していっぱい悩んで、どんどん魅力的な役者さんになってほしい。

 

2017年は安西くんの座長公演がとても多い年でありました。

その締めに、この大所帯で若き座長として担がれ、横に彼のエネルギーを受け止めて下さる温かい辻本座長がいて、素晴らしい座組で1年を締めくくってくれたのは私も嬉しいです。

両座長、本当にお疲れさまでした。また今度は違う関係性で、お2人が芝居で絡むのを楽しみにしています。

 

さて、2018年の予定がまだ何も発表されませんが、今度はどんな形でお芝居を魅せてくれるのでしょうか。

る年の冒頭、花道を堂々晴れやかな顔で歩いてきた安西くん。

今年も役の中で魂を燃やすであろう貴方に、この先の天気予報もどこまでも晴れやかでありますように。

 

 

はてなブログはじめました。

こんにちは。ヨシダと言います。

こちらでは安西慎太郎くんの出演作品についての感想を中心に書いていきます。

長文、あつくるしい感想になりがちですがご容赦くださいね。

せっかくなので、過去に別の場所で書いていた感想も引っ張っておいておこうと思います。よかったら。

 

一応、ごく簡単な自己紹介を。

・東北出身、関東在住、30代女性。

・安西くんはテニミュから。青学VS四天をDVDで観てハマり、観劇は全国立海から。

彼のお芝居に滅法惚れ込んでいます。

まだまだ5年、10年と、今後の彼の健やかな役者道を見つめていきたいです。

・たまのブログやインタビュー記事で発される言葉の選び方、芝居への愚直で真摯な思いも大好き。いつも私の背筋を正してくれます。

・その他大好き:THE ALFEE昭和歌謡・80年代アイドル・東映特撮・佐藤祐基

 

あとすごくどうでもいい事ですが、このブログタイトルはもうずっと前から使っている名前です。『摩天楼』も『ドラマティック』もなんか小さい頃からカッコいいと思ってる言葉なので(笑)。

最後の『S』は慎太郎くんのSでもありますが、実際は歴代のブログに無印(表記なし)→R…と付けてきたからです。3代目だからS。某美少女戦士世代なのです。

 

12月の旅人は脳内にエンドルフィン。

※2017/01/09投稿記事

 

12月は急きょ安西くんのゲスト出演が発表された、and endless公演 『ENDrephin』が唯一の観劇になりました。たまたま休みで良かった。
劇団20周年のメモリアル公演という事で、今までのお芝居の世界が沢山入り混じる、非常に感覚的でトリッキーな世界観。過去の公演を観ていればより楽しめたのだと思いますが、演出効果や転換の面白さがとても興味深かったです。

すっごいぜ、舞台上にマジで大雨降ってたぜ!???

すっかり好きな役者さんな村田洋二郎さん、今回一緒にゲストだった萩野崇さんの色気ある佇まいもまた良かった。

本命の安西くんのほうは、出番こそ数分でしたが、旧日本軍の軍服のような格好に、日の丸のハチマキ!でした。す……好きなやつでした……(笑)
出てきて即、涙をいっぱいに溜め込んでMAXのテンションで芝居を始めたのはさすがでした。
妻を守りたい、国を守りたい……。出征前の軍人さんのような決意に満ちた声。短い中でもインパクトがありました。しかも萩野さんとの絡みとか嬉しすぎました。かつて過去作漁りまくってたぐらいにはファンでしたので…。


さて、ついに1月です。
下旬は舞台『幸福な職場』に、ドラマ『男水!』。そしてNHKFMのオーディオドラマ『帝冠の恋』(個人的にはラジオドラマと呼びたい)。
目白押しです…。嬉しい…。チョーク工場の新米専務と競泳高校生と、ハプスブルグの皇族様がいっぺんにやって来ます。今月はこのために頑張れます。

幽霊に憑かれた母と子が箱に収まるまで

※2016/11/18投稿記事

 

続きを書く機会が先延ばしになってるうちに『舞台K-Lost Small World-』のBlu-rayが出てしまいました。

もはや安西慎太郎だという事を忘れるほどに存在が伏見猿比古としか言えない彼を観てからオスヴァルの姿を改めて観ると、
「同一人物なんて嘘だろ??」
としか言いようがないわけなんですが…(笑)。とりあえず『幽霊』の、夫人と息子の話です。


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安西くん演じるオスヴァル。
劇中で一番愚かな男でした。プライドが高そうで、持論を振りかざし、酒に逃げて、野心のために媚びてくる女中の振る舞いに舞い上がり調子に乗り、酒の勢いでそんな女中に対する下心をあけすけに母に語って聞かせる。
いくら先天性の病気持ちとはいえ、同情できない本当に馬鹿で愚かしい奴です。
戯曲を読んだ時点でも本を投げそうになりましたもん(笑)。

2幕からは過剰なぐらいのアクションで転がったり酒を何杯も煽ったり、あれはさらにオスヴァルの愚かしさを際立たせていて個人的には良かったです。
最後の『太陽』の直前、ギラギラしていた目に一切の感情がなくなって、光がなくなったのは見間違いではないはず…。やっぱり彼の目の芝居はいい。

しかしまあ、洋装の似合う事似合う事。肩が大きくなってて、いつも舞台中は痩せてしまう頬がいつもよりふっくらしてたのも良かったです。26、7歳の雰囲気は出るかな?と心配でしたが、そのおかげで年相応に見えましたし。ベスト姿の背中はたいへん惚れぼれしました。

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私はこの舞台の何が好きって、アルヴィング夫人と息子・オスヴァルの関係性と耽美さです。

やっぱり今回の舞台は、母と息子の一種の共依存を感じさせるような距離感がとにかく特徴だったように思います。
いやあ、正直言ってすごかったですね、あの物理的な顔の近さ(笑)。
私、『食堂に幽霊が現れた』レギーネとのシーンをどうするんだろうとドキドキしながら行ったのに、おいおいオスヴァル、母さんとの絡みのほうがすごいよ??と動揺しました(笑)。

(レギーネとのシーンは壁に映像を映す事で表現されました。映像が鮮明ではなかったのですが、一応初めてのキスシーン(フリですが)って事でいいのかな?)

夫人はオスヴァルに微笑みながら、マンデルス牧師に「知っていましてよ、わたし、心も身体もまだ純潔なままのものを」と言います。
すごくないですか、26、7歳の息子を評する台詞じゃないですよねこれ。もっとも牧師はこの言葉に苦笑いでしたが。

とはいえ息子のオスヴァルも、苛立ちをごまかす為に酒を求め、その通りにシャンパンを持ってこさせた夫人に対しこう言います。
「こいつはすごいや、息子が喉を渇かしているのを、母親が放っておくはずはないと思った」

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…もうまず、この2人の時が、そもそもオスヴァルが海外留学に出される前の幼年期で止まっているんです。もしかしたら幽霊が巣喰うこの『家』が、2人の時間を止めてしまったのかもしれませんが。

朝海さん演じるアルヴィング夫人はオスヴァルの髪や頬をよく撫でてやるのですが、それがまさに小さい子供をあやす手つきなんですね。
そしてオスヴァルも、酒に酔って母に絡んでいた時点でも随分甘えていましたが、火事の後からは明らかに子供に後退したようなとろんとした顔つきで母に甘え始める。

安西くんのお芝居の中で、『幼児性』っていうのは彼の独特な特徴だと思うんです。
巧いんですよね、本当に…。
幼児性は悪い意味で言ってるんじゃないんです。
八雲の宇都木くん、Kステ・ロスモワの伏見など、小さな子供が全身ですがってくるような執着や、幼さゆえの恐れのない凶暴性、狂気、感情の起伏…。
まだ22歳、絶対どこかにカッコつけが残ってもおかしくないのに、彼はこちらが驚くほどそれらを舞台上で、芝居でさらけ出してくる。ただ素直に、すげえな、って思います。

オスヴァルの病気の進行は、幼児返りのように見えました。自分を殺してくれそうなレギーネに振られ、自ら死ぬ事はできず、全部を受け止めてくれる母親の前で幼児に返り、全身ですがりついていくような。あれは彼にしかできないオスヴァルだったなと、贔屓目ですが思います。

そしてまた、母親である夫人にとっても、可愛い息子がどんどん自分に甘えていくのは嬉しかったことでしょう。

「お前を家へ帰らせてくれた病気に感謝したいくらいよ」
「もっとお前を、わたしのものにしなくちゃね」

因習と嘘と駄目な夫と長年闘ってきたアルヴィング夫人にとっては、可愛い息子だけが自分の拠り所だったのでしょうね。
すがりあって甘え合って、最後のシーンは2人で小さな箱に収まっていくようでした。やがて溶けるように崩れる家の壁。朝日。本当に最後まで皮肉で愚かで、美しい舞台でした。

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安西くんの野生的な『何かに成る』芝居を、朝海さんの『美しく魅せる』芝居がしっかり受け止めて、どろりとしながらもとてもとても耽美で美しくて。この親子の絡みは本当に私の好みをストライクで突いてきました。
最後、廃人になった息子にヒステリックに叫ぶのが戯曲の指示かなと思っていたのですが、そこをあえて抑えて抑えて、絞り出すように「もう、ごめんよ…!」と言う夫人の芝居が物凄く良かったです。
今までの彼女の全てが全部崩れ落ちたような絶望感がたまらなかった。正直、オスヴァルの「太陽…」よりも、夫人のこの芝居でラストが決まったなと思いました。

安西くんも、朝海さんに全幅の信頼を置いてぶつかっているのがよくわかりました。
八雲の時は、まだお姉さんにすがる芝居に距離があったのですが、今回は抱きしめる腕では足りず手のひらや顎までしっかり這わせてて。あんなの初めて観ました。観てるこっちはとてもどきどきしましたが(笑)。


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正直、こういう古典で知的で耽美な舞台、まだまだ彼で観られるのは先だろうなと思っていました。
舞台の上の彼は、命を削るように燃やしてオスヴァルを『生きて』いました。
…ねえ、まだ22歳だよ。勘弁してよ。
初めて観た回、舞台を観ながらそれをずっと繰り返し思っていて、この子を観てきてよかったなあ……と思ったら泣けてきてしまって、終演後にはついに大号泣が止まらず、歩くどころか立つのさえやっとな程におぼつかない足でチケットを増やしにいきました。最終的に、事前に2枚持っていたチケットは5枚になりました(笑)。

まだまだ足りない所はあるけれど、やっぱりいい役者さんだなあと惚れ直してしまいました。
これからまたどんな景色に連れて行ってくれるんだろう。
今年はこれが舞台納めになりそうですが、私にとって、とても特別な舞台になりました。
なんとかDVDが出てほしい、映像に遺してほしい。今はそればかりを祈っています…。

※2017/11/15追記:その後DVDが出ました。職場の休憩室で号泣しました(笑)