朝日のような夕日をつれて2024・感想その1~エネルギーのカタマリを浴びる演劇体験

いきなり自分語りで申し訳ないですが、

1990年代末、私は高校で演劇部に所属していました。

中でも演劇に熱心だった部員の友人たちが口にしていた、

第三舞台』『鴻上さん』というワード。

田舎の県大会止まりの演劇部員でも知っていたようなお名前を、

こうして25年近く経ってから、大好きな役者の出演作で聞けるとは。

 

暗転の中の囁き、明かりが点いて、

爆音のYMOの中で安西くんのあまりに輝きに満ちた顔を見つけた瞬間、

私にとっては期待の何千倍も特別な作品になりました。

 

 


www.thirdstage.com

 

鴻上尚史saizenseki.com

 

www.youtube.com

 

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【作品全体の雑感】

人間の肉体の躍動、発声。

これこそが生のパフォーマンス、舞台演劇の根源的な面白さなのだなと。

ここまでシンプルに感じたのは初めてかもしれません。

エネルギーのカタマリのような、しかし鍛え抜かれ洗練された技術で

ド直球に喰らわせてくる作品の力、役者さんの力を感じました。

 

観劇と言うより体感。オペラグラスで顔覗いてる場合など一度もなかったです。

ライブを見てる感じに近かったのかもしれません。

 

そして怒涛のようにぶん投げられ続けることばの千本ノック。

そして皆さん本当に声が良く、体がまーよく動く動く。

安西くんもなかなか台詞が通り体の動くタイプの役者だと思っていたけど、

5人全員が凄いって相当じゃないですか?

 

色んな細かいネタはアップデートされていても、

80年代のサブカルな空気やカッコよさが根底にバシバシに感じられました。

(ゴドー1と社長と課長が大きなグラサンにスーツで踊るとことか)

 

あとホントーーーに思いました。高校演劇ってこれがしたかったんだなみんな(笑)。

具体的にどこがそうとか言えませんが、演劇大会で見てきた気配があちこちに…。

そりゃ憧れるよね~。私だってこれ高校で観てたら群唱もしたいし、

高い所から我愛

 

2.5次元病のくだりはやばかったですね(笑)。ランダムはやめてほしいし、役者の取り分増えるといいね(あそこみんないい顔してて笑った)

 

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【令和になっても変わらなかった『みよ子の○○』】

2024年版の出演が発表されてすぐ、図書館で初演の戯曲を読みました。

一番(うわあ、これはさすがに時代的に改変されるよなあ)と思ったのが

みよ子のストロー、ハンカチ、便座のくだりでした。

ここを一切変えないで来た事に、正直若干のショックがありました。

 

鴻上さんは、おそらく意図してあのくだりを変えていないのだと思います。

この2024年版は特に。

あれは今の時世だったら結構アウトですからね。

それこそ男女の性差の話は慎重にするべき内容ではありますが、

時代が変わっても変わらない、男性の女性に対する軽薄さというか、

そういうものを誇張して見せる印象を受けました。

 

みよ子は、少年以外の4人それぞれの理想のみよ子、

『本当のみよ子』個人ではなく、『女性としての役割を持ったみよ子』をして見せ続ける事に疲れていたんだろうな。

 

最後の遺書は、繰り返し読めば読むだけ彼女の何とも言えない現世への諦めと虚しさと、

それでも未来は他者任せではなく自分で選びたいという、彼女の意志の強さを感じます。

この話は観た人それぞれで大きく考察が変わるところだと思うので、あくまで私個人の考察です。

 

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【キャストの感想】

玉置さん。圧倒的なフィジカルと華。個人的には成河さん方面の役者的凄みとチャーミングさを感じます。

安西くんが憧れていた役者さんだったのはあまりに分かるし、なによりめちゃくちゃ好きなお顔だろうなーと思っていました(笑)。

稽古場のエピソードや映像を拝見していて思ったのは、

最年長で一番キャリアのある方が率先して楽しく天真爛漫に振舞えるって、逆に人間的な器が無いと出来ない事だよなと思います。すごく尊敬します。

 

小松くん。『あたっくNo.1』での共演時、センターの似合う人だなあと感じた方でした。

コミカルな芝居をやらせても嫌味や下品さがなくて、色々ギリギリなワードが出てきても不快さを感じず面白がれたのは彼のキャラクターも大きかったかも。

ちょっと昭和末期のハンサム感のある方なので、朝日の持つ80年代の空気がすごく違和感なくフィットしてましたね。三つ揃えの似合う事似合う事。

スーツ+サングラスで踊る姿が一番ハマってた。

 

稲葉くん。マッハの時からすっかり顔つきが大人に。

トランシルバニアのサミーのくだりみたいなカッコいいシーン以上に

ドタバタしてる時のコミカル芝居が個人的には好きで、

特に2.5次元病の時のキレ声がめちゃくちゃ好きでした(笑)。

安西くんと2人のゴドーコンビ、すごく面白い対比だったな。掛け合いも抜群だった。

 

一色くん。毎度X(twitter)で見聞きする朝日ガチ勢ぶりが清々しくて最高でした(笑)。

何かのファン過ぎる人って、実際に作品へ関わった時に必ずしも良い結果を生まないパターンもありますが、

一色くんは朝日愛をどっかり乗っけた上でマニアックにならず、

むしろ一番面白いエッセンスとして絶妙なバランスで少年を表現できているのがすごいなと感じました。

火の玉というより、個人的には一番テクニカルな人だという印象でした。

 

 

長くなりすぎてしまったので、安西くんの話はまた別の記事で。